第11回 第五部 推論(3)帰納的推論
事前課題
2−4−6課題で,参加者の課題は何か?
規則性の発見
直接には知覚できない
推論
帰納的な仮説検証
規則
確率的
実際の判断
ヒューリスティク
仮説検証
概念達成
ブルーナー ほか (1956)
実験者が設定した論理的カテゴリーを推論
逐次走査
立証バイアス
仮説に合ったカードを選び,
合わないカードを選ばない
2−4−6課題
規則をみつけるために,参加者が事例をつくる
仮説に合う事例をつくる傾向
確証バイアス
仮説を支持する証拠を集めようとする
反証主義
帰納的推論の問題
ポパー
PならばQである
Qでない,ならば,Pでない
反証がない→仮説の確実性が高まる
反証→仮説の放棄
確証バイアス
⇒ 仮説を支持する証拠ばかりをさがす
科学の限界?
2−4−6課題再考
2−4−6課題の特殊性
規則の範囲が仮説よりも広い
規則の範囲が狭いならば
反証テストが有効とは限らない
現実世界のテストの効率性
規則の範囲が狭い
「Aがカラスならば,Aは黒い」
反証主義
「黒くなければ カラスではない」
黒くないもの たくさん → 非効率的
確証テスト 「カラスは黒い」 効率的
希少性仮定
正事例は負事例よりはるかに少ない(想定)
↓ 確証テスト
確証バイアスの適応的な意味
← 現実世界の特性 (希少性仮定が成り立つ)
反証主義の限界
反証主義の限界 (2)
反証があっても
仮説が否定されるとは限らない
剰余変数の影響
Reaction paper 課題
確証バイアスが,現実の世界では適応的であるのはなぜか?
仮説検証
「勉強をすれば,試験に受かるだろう」
100%ではない
「程度」を見積もる
主観的な「確度」 ⇒ 確率
主観的確率
40歳の女性が乳がんにかかる確率は1%である。
乳がんの女性が,マモグラム検査をうけると80%の確率で陽性になる。
乳がんにかかっていない女性が検査をうけても,9.6%は陽性になる。
検査結果が陽性であった。この女性が乳がんである確率は?
検 査結果が陽性であった。この女性が乳がんである確率は? 80 % ???
ベイズの定理
あること B がおこった時,A である確率
pp.212 – 213
P(H) 40歳の女性が乳がんにかかる確率 1%
事前確率
基準率
P(¬ H)
Hの否定
40歳の女性が乳がんにかからない確率
100−1=99 %
P(H|D)
D の時,Hである確率
条件つき確率
陽性というデータが得られたとき,乳がんである確率
P(D|H)
乳がんのひとが,陽性になる確率 80%
P(D|¬H)
乳がんでない人が,陽性になる確率 9.6 %
P(H|D) = 0.078
8%以下
基準率 P(H) 無視
カーネマン & トヴェルスキー (1972)
確率 vs. 頻度
ギゲレンツァー 進化心理学
確率ではなく,頻度で表現すれば規範解を出す
40歳の女性1000人のうち,乳がんにかかるのは10人
乳がんにかかっている女性10人のうち,8人はマモグラフ検査で陽性になる
乳がんにかかっていない女性990人につき,95人はマモグラフ検査で陽性になる
マモグラフ検査で陽性 乳がんにかかっている ( )人中 ( )人
頻度理論の問題
計算が単純
確率 ⇒ 計算が複雑
確率の表現
分子 「乳がんにかかっていて陽性になる」
分母 「40歳女性が陽性になる」
それぞれ,計算が必要
頻度問題の改変
40歳の女性1000人のうち,乳がんにかかるのは10人
乳がんにかかっている女性1000人のうち,800人はマモグラフ検査で陽性になる
乳がんにかかっていない女性1000人につき,96人はマモグラフ検査で陽性になる
マモグラフ検査で陽性 乳がんにかかっている ( )人中 ( )人
頻度問題でも,基準率を考慮することは困難
「基準率無視」 ⇒ 妥当な説明
主観的確率 ⇒ 生態学的な意味
アルゴリズム algorithm
ヒューリスティック heuristic
可用性ヒューリスティック
ある事例を思い浮かべやすければ, その事例の生起確率が高いと判断する。
想起しやすい解決策を使用
例)
非難行動 津波非難 クルマを使う?
代表性ヒューリスティック
あるカテゴリーの多くのメンバーと類似している事例は,そのカテゴリーに属する (多くの偏見,先入観の源泉)
黒人 → アフリカから? アメリカ?
スーツ姿 → サラリーマン? 営業マン?
連言錯誤
あるカテゴリーの典型的な特徴をもっている
⇒ そのカテゴリーに属していると判断
「適応的」判断
偏見
Reaction paper 課題
「乳がん問題」で無視される基準率は何か?