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第9回 推論(2)帰納的推論

事前課題
2−4−6課題で,参加者の課題は何か?


規則性の発見 
直接には知覚できない
推論 
    帰納的な仮説検証
規則
確率的


実際の判断
ヒューリスティク

仮説検証
 概念達成
 ブルーナー ほか (1956)

 実験者が設定した論理的カテゴリーを推論

逐次走査
立証バイアス
    仮説に合ったカードを選び,
    合わないカードを選ばない

 

2−4−6課題
 規則をみつけるために,参加者が事例をつくる

 仮説に合う事例をつくる傾向

確証バイアス
 仮説を支持する証拠を集めようとする


反証主義
 帰納的推論の問題
 ポパー

PならばQである
Qでない,ならば,Pでない

 反証がない→仮説の確実性が高まる

 反証→仮説の放棄

確証バイアス 
 ⇒ 仮説を支持する証拠ばかりをさがす

 科学の限界?


2−4−6課題再考

2−4−6課題の特殊性
 規則の範囲が仮説よりも広い

 規則の範囲が狭いならば
  反証テストが有効とは限らない

現実世界のテストの効率性
 規則の範囲が狭い
「Aがカラスならば,Aは黒い」

反証主義
「黒くなければ カラスではない」
 黒くないもの  たくさん → 非効率的

確証テスト 「カラスは黒い」 効率的


希少性仮定
 正事例は負事例よりはるかに少ない(想定)
   ↓ 確証テスト

 確証バイアスの適応的な意味
← 現実世界の特性 (希少性仮定が成り立つ)

反証主義の限界

反証主義の限界 (2)
 反証があっても
 仮説が否定されるとは限らない

 剰余変数の影響

Reaction paper 課題
 確証バイアスが,現実の世界では適応的であるのはなぜか?

仮説検証
「勉強をすれば,試験に受かるだろう」

100%ではない
「程度」を見積もる

主観的な「確度」 ⇒ 確率

主観的確率


 40歳の女性が乳がんにかかる確率は1%である。
乳がんの女性が,マモグラム検査をうけると80%の確率で陽性になる。
 乳がんにかかっていない女性が検査をうけても,9.6%は陽性になる。


 検査結果が陽性であった。この女性が乳がんである確率は?

検 査結果が陽性であった。この女性が乳がんである確率は? 80 %  ???


ベイズの定理
あること B がおこった時,A である確率

 

pp.212 – 213

P(H)  40歳の女性が乳がんにかかる確率 1%
事前確率
基準率


P(¬ H)
Hの否定
40歳の女性が乳がんにかからない確率
100−1=99 %


P(H|D)
D の時,Hである確率
条件つき確率

陽性というデータが得られたとき,乳がんである確率

P(D|H)


乳がんのひとが,陽性になる確率 80%

P(D|¬H)
乳がんでない人が,陽性になる確率 9.6 %


P(H|D) = 0.078
8%以下

基準率 P(H) 無視
カーネマン & トヴェルスキー (1972)
 

確率 vs. 頻度
ギゲレンツァー 進化心理学

確率ではなく,頻度で表現すれば規範解を出す

40歳の女性1000人のうち,乳がんにかかるのは10人
乳がんにかかっている女性10人のうち,8人はマモグラフ検査で陽性になる
乳がんにかかっていない女性990人につき,95人はマモグラフ検査で陽性になる

マモグラフ検査で陽性  乳がんにかかっている  (   )人中 (  )人


頻度理論の問題
計算が単純

確率 ⇒  計算が複雑
確率の表現
  分子 「乳がんにかかっていて陽性になる」
        分母 「40歳女性が陽性になる」
それぞれ,計算が必要


頻度問題の改変
40歳の女性1000人のうち,乳がんにかかるのは10人
乳がんにかかっている女性1000人のうち,800人はマモグラフ検査で陽性になる
乳がんにかかっていない女性1000人につき,96人はマモグラフ検査で陽性になる

マモグラフ検査で陽性  乳がんにかかっている  (   )人中 (  )人

頻度問題でも,基準率を考慮することは困難

「基準率無視」 ⇒ 妥当な説明
主観的確率 ⇒ 生態学的な意味

アルゴリズム    algorithm
ヒューリスティック heuristic

可用性ヒューリスティック
 ある事例を思い浮かべやすければ, その事例の生起確率が高いと判断する。
想起しやすい解決策を使用

 例)
 非難行動  津波非難  クルマを使う?


代表性ヒューリスティック 
 あるカテゴリーの多くのメンバーと類似している事例は,そのカテゴリーに属する (多くの偏見,先入観の源泉) 

 黒人 → アフリカから? アメリカ?
 スーツ姿 → サラリーマン? 営業マン?


 連言錯誤

  あるカテゴリーの典型的な特徴をもっている
 ⇒ そのカテゴリーに属していると判断
 「適応的」判断
  偏見

Reaction paper 課題
「乳がん問題」で無視される基準率は何か?
 

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