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第13回 第七部 言語(1) 言語の特性 

心理言語学
 言語を心理学の観点から心理学の方法で研究

言語の特性
 個人の情報処理 ⇒ 結果を他人に伝える

    手段としての言語

 人間の適応力の向上
    伝承,文字
    現代文明

伝達媒体としての言語
 情報伝達の媒体
  動作 
  言語(音声)

 音声と意味の関係 ⇒ 恣意的
  恣意的な関係 ⇒ 規則 ⇒ 記憶

 系列的な情報処理
  視覚的伝達 同時並列的
  言語的伝達  
  系列的発話 ⇒ 聴取:情報の一時的保持

系列的な音声 : まとめる(構造化)ための規則
    文法(統語規則)

動物の音声コミュニケーション
 音声 ⇒ コミュニケーション
 鯨,イルカ

 チャボ

人間の言語の特性
1 恣意性
   音声 ←→ 表す対象,状況
    恣意的な関係
  動物の場合:
   特定の音声 = 特定の状況
    固定した関係

2 転移性
  対象がない場合でも,言語を使用する

3 二重性
  意味のない音の組み合わせ
    ⇒ 意味のある単語
    キタ       タキ
  動物の音声 : 分解できない
  
4 生産性
  有限の単語 ⇒ 無限の文


心理言語学
 ミラー G. A. Miller
 情報処理パラダイム
    チョムスキー 言語学者 
 ⇒ 心理言語学の誕生 1950年代の終わり

句構造の実在性
 句構造 phrase structure
        文
    名詞句        動詞句
    限定詞 名詞    動詞 名詞句

 構文解析木 parse tree 
   文 ⇒ 句構造
    句構造規則 phrase-structure rule

句構造の心理学的実在性
    発話の切れ目 pause 
    言い直し
 
母語の習得
1 発話の発達
    喃語        言語に似た音声
    一語発話        ワンワン (一歳)
    二語発話        ワンワン,オネンネ (一歳半)
 
 機能語を欠く
    助詞,助動詞がない
    ワンワン,オンモ,イク
   機能語: 単語と単語の関係を示す
    統語的関係 

 語彙爆発 一歳半〜
    単語を憶えるペースが加速

2 言語音の区別
乳児 : さまざまな音声を区別
⇒ 母語にある言語音の区別
    他の言語音の区別は消失

3 文法の学習
     文法的規則の習得
    過去形 go → went
           goed


4 コンピュータによる文法の学習
    ラメハート と マクレランド (1986)
    コンピュータに文法を学習させる
    ⇒ 幼児と同じまちがい
    go → went → goed → went

    規則の学習ではなく,事例の記憶

潜在的な文法規則学習の可能性

Reaction paper課題
句構造の心理学的実在性の根拠をあげなさい


第二言語の学習
 第二言語 second language

 臨界期 critical period
    水鳥 刷り込み imprinting
    ローレンツ Lorenz (1952)

 外国語の習得にも臨界期?
    こどもは「自然に」学習するのか

 言語習得に臨界期はあるのか

 子どもとおとなの言語の違い
       こどもの言語    限られた語彙,単純な構文
     おとなの言語    大量の語彙,複雑な構文

「違い」を統制
    → 12歳より上の子どもほうが第二言語の修得は早い

 年長者のほうが,言語を学習する認知的能力が発達している

 第二言語の学習は,
    おとなになってから始めたほうがよいのか
  ジョンソンとニューポート (1989)
      移住者の第二言語の習得
      移住した年齢が高いほど,文法的な能力が劣っている

 人間の言語学習に,明確な臨界期は存在しない

 言語学習に有利な敏感期(sensitive period)はある
      早い時期に始めると,高い習熟度に到達
      音声的な能力

 2つの言語の同時習得
     幼児期の第二言語学習
     → 可能か,困難か

     理解が遅れるか
     習得は環境に依存
     混同は生じるか

 バイリンガルの知能
      2つの言語を習得すること
      → 悪影響?
      2カ国語の習得 → 知的能力の発達

言語と思考
「言語相対性仮説」
    世界の見え方は言語によって相対的
    サピア- ウォーフ仮説
    (ウォーフ仮説)

    思考=言語

ウォーフの議論
    ホピ語の例
    鳥以外の飛ぶもの 「マサイタカ」

    言語の違い ⇒ 思考の違い
    思考も違うのか??

色名と色の知覚
    基本色名 「赤」

    ウォーフ 
    電磁波 ⇒ 色名 ⇒ カテゴリー知覚
    バーリンとケイ (1969)
    基本色名の数は,言語によって異なる

 ハイダー(1972)
    基本色にない色は,識別できないのか?
    ダニ族 
    基本色名  2語
     「ミリ」 明るい色
     「モラ」  黒っぽい色
 ⇒ 赤,黄,青,緑      見分けられる
    
 色の記憶と色名
  ロバートソン ほか (2000)
    色の記憶 ← 色の名前 影響

   色の知覚 : 色名は影響しない
    色の記憶 : 多少影響する
        (言語ラベルの効果)

抽象的な思考
  色の知覚 : 生得的なメカニズム
  抽象的な思考 : 経験の効果
    ← 言語の影響?

 ブルーム   反事実的条件法 
    事実に反した仮定した推論
    科学的思考
    中国語,日本語に存在しない
    ⇒ 科学的思考が劣るか?
 ブルーム(1981,1984)
    反事実的思考
    アメリカ人>中国人

    再現性なし
  数学的知識の影響

非言語的思考
            思考≠言語
            言語を用いない思考の存在
「言語は思考に影響するか」?

非言語的情報処理
 思考のシミュレーション→自然言語では困難
 なぜ「思考=言語」という実感が生じるか

 思考 ⇒ 言語 ⇒ 意識

  思考過程からの出力(の一部)
         思考過程への入力(の一部)
 
次回への事前課題
単語優位効果とは何か?

Reaction paper 課題
思考が言語に影響されないことを示す研究例をあげなさい
 

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