第10回
第六部 心理学に特有な問題(2)
内観法 倫理的問題
心理学に特有な問題: 内観法
• 言語報告の特性
要求特性,実験者効果の影響を受けやすい
影響の程度を評価することが困難
• 限界
意識を対象とする
• 言語を用いる
⇒ 要求特性,実験者効果の影響を受けやすい
• 言語報告されたこと : 原因か?
従属変数である ← 原因は何か
• 言語報告の多義性
解釈の余地
実験者効果の影響
対策
• 他の測度との関係を分析: 多重測度
• 因果関係 ← 法則的理論
研究の倫理:社会的契約
• 研究の機会
• 研究成果(科学的知識)を社会に還元
• 科学的知識のために
被験者に対して何が許されるか?
科学的価値,被験者のこうむるリスク
倫理的配慮の有効性,社会的意義
アイヒマン実験
• ミルグラム(1963) アイヒマン実験
仮説
ふつうの人でも,権威に服従して人の命を奪う
• 検証方法
実験室 (記憶実験を装う)
被験者に電気ショックを罰として与えさせる
被験者 一般人(職業,性別)
スタンフォード監獄実験
• ジンバルド (1971) スタンフォード監獄実験 仮説
匿名性は人を役割に従って行動させる
• 検証方法
場所 (疑似)刑務所
被験者 学生 → 囚人役 看守役
それぞれの行動を観察
• 日本心理学会
http://www.psych.or.jp/publication/rinri_kitei.html
倫理綱領及び行動規範
被験者の保護
• 実験的操作が必要か?
操作が倫理的に許されるか?
• 因果関係を明らかにする必要性
• 相関研究
リスクの最小化
インフォームド・コンセントと
自発的参加
• 実験に参加する被験者
← 情報提供
• 自発的参加
被験者の反応に影響を与えない範囲で情報を開示
⇒ 承諾 「インフォームド・コンセント」
• 実験同意書と説明文書.doc
• 京大、買い物客らを無断撮影 商業施設で追跡技術研究:朝日新聞デジタル.html
デブリーフィング
• 実験で生じる疑念,苦痛の除去
• 心理学の実験ついての誤解
– 性格検査?
– 知能検査?
自分のことが「わかってしまう」
実験の目的を明らかに
匿名性と守秘性
• 被験者の匿名性の保証
• 実験の過程で得られた被験者の情報の守秘
Reaction paper 課題
• 実験に参加する被験者に対して,どのようなことに留意するか?
研究倫理審査委員会
• 研究者による倫理的配慮の限界
• 組織による倫理審査
実験の記録
• 実験(研究)ノート
• 仮説,目的
• 実験過程の記録(準備→結果)
• 日時,場所
• 被験者,実験者
• 実験条件,操作
• 測度,想定外の事実
• 論文執筆の過程
研究活動の倫理
• データの収集
• データの分析
• データの保存
倫理的な問題 p.231
• 研究不正
– データの ねつ造,改ざん,盗用
• 剽窃(ひょうせつ)の禁止
– 資料,データの独自性の価値
• 先行研究の適切な引用
• 恣意的なデータの処理の可能性
– 仮説への期待
– 客観的な分析方法とは
• 統計処理のルール
• 検定の有意水準
• 処理を分けるべきデータとは
– データのトリミング
データのクッキング
• 利益相反
– 利害関係者の関与を避ける
次回への事前課題
テキスト p.286 ~
研究のアイディアは
どのようにして生まれるか?