第4回
従属変数の測定 従属変数の信頼性と妥当性
課題
学力を,ある手続きで測定した。この手続きが「信頼できる」かどうかは,どのようにして確かめられるか?
従属変数の種類
• 直接的従属変数
– 選択反応(はい,いいえ),判断
– 反応時間
• 概念的従属変数
諸変数の代表(あるカテゴリーに属する反応)
– 模倣,同調,攻撃行動
• 概念的従属変数
心理変数(直接観察できない)
– 態度,自尊心,学力
測定(測度)の信頼性と妥当性
• 信頼性
← 同一条件下で,いつも安定した測定値が得られるか
• 測定における誤差 → 信頼性の低下
– 測定装置の誤差
– 被験者の反応の変動
• 誤差変動
• 特定の要因による影響 (剰余変数)
疲労,順序効果, , ,
信頼性
• 信頼性を高める方法
– 要因の統制
– 多重測定
• 複数の尺度
• 正答率と反応時間
Reaction paper 課題 1
• 学力を,ある手続きで測定した。この手続きが「信頼できる」かどうかは,どのようにして確かめられるか?
• 要因の統制
– 測定環境
– 測定課題の標準化
• 多重測度の関係の分析
– 問題数,総合点,問題の間の整合性
– 複数回の測定
→信頼性係数,相関係数
妥当性
• 測定の妥当性
← 意図した変数を的確に測定しているか
• 表面的妥当性
変数を代表しているか
• 基準関連妥当性
他の手続き(基準)と整合性があるか
• 構成概念的妥当性
ある手続きが,心理学的概念(構成概念)に対応するか
• 表面的妥当性
学力 ← 期末テストの成績
意欲 ← 面接の言語反応 ?
• 基準関連妥当性
– 並存的妥当性
• 採否判断と好意度
– 予測的妥当性
入学試験の妥当性 → 入学後の成績を予測するか
• 構成概念的妥当性
– 他の手続き(従属変数)と相関すること
– さまざまな独立変数と相関すること
– 無関係な概念の手続きとの低い相関
– 好意度の測定
• 採否判断,着座位置と相関
• 独立変数(アイコンタクト,類似性)との相関
– 数理的知能の測定
• 数学,理科の学力試験との相関
• 言語的知能との低い相関
精神物理学的測定法
• 調整法
• 極限法
• 恒常法
調整法 被験者が比較刺激を調整
可変の比較刺激を調整し、それが標準刺激と同じに見えるようにする
• 上昇系列
• 下降系列
主観的等価値(PSE)
全ての測定値の平均
弁別閾、丁度可知差異(JND)
測定値の標準偏差を求め、定数0.6745をかける (確率誤差 probable error)
非標準的手続き
• 言語測度
• 行動測度
言語測度の利点と問題点
• 言語測度
– 言語報告
– 質問紙法
– 評定法
• 利点
– 表面的妥当性
– 感度
多面的測定
• 問題点
– 言語表現の多義性
– 観察反応によるバイアス
– 低いインパクト
内観の限界
行動測度の利点と問題点
• 行動測度
– 観察可能な行動
• 利点
– 観察反応のバイアスを受けづらい
– 被験者の意識の影響を低下
• 問題点
– 他の変数の影響を受ける可能性
– 感度が低い (行動するか,否か)
• 感度をあげる工夫(反応時間など)
測度の選択
• 先行研究とパイロットテスト
– 適切な測度の選択
• 信頼性
• 妥当性
• 感度
– 測度の組み合わせ:多重測定
• 測度の事後評価
天井効果と床効果
• 行動測度における天井効果
– 正答率 すべての条件で高い正答率
→ 条件差を検出できない
– 学力の測定 全員が高い正答率
→ 個人差を識別できない
• 言語測度における天井効果
– 質問紙 全員が「はい」と答える
→ 「態度」の測定 : 独立変数の影響を測定できない
Reaction paper 課題 2
• 言語測度について,その利点と問題点をあげなさい。