第5回 剰余変数の統制(1)
被験者間計画(個体差変数の統制)
被験者内計画(個体内変動の統制 )
統制の原理
• 因果関係
独立変数 X
従属変数 Y
剰余変数 Z が X と 交絡(confound)
X と同時に変化
原因をXに特定できない
• 他の説明の可能性を排除
Z の影響を取り除く
• Z を除去
• Z の変化を一定にする (恒常化)
統計的統制と実験的統制
• 統計的統制
偏相関
• 実験的統制
剰余変数を操作
• 直接的統制
学習法の比較:学習時間を条件間で一定にする
• 個体差の統制
条件間で被験者が異なる:個人差 → 均等配分
・個体内変動の統制
課題
• 直接に統制される変数の例をあげなさい
教授・学習実験
情報機器を使用した授業法 と 従来の授業法
• 授業時間
• 課題内容
• 教室
個体差の統制
• 児童の学力
• 教員の特性
• 学習材料
個体差変数の統制
• 被験者内計画
– どの条件にも,同じ被験者を配置
– 残留効果の問題
• ある条件の効果が,他の条件の効果に影響をもつ
経験効果,練習効果
• 被験者間計画
– 異なる被験者を,各条件に配置
– 被験者の配分に工夫
被験者間計画
• 組織的配分
– あらかじめ剰余変数 Z を測定
平均値等化法
条件間で Z の平均値が等しくなるように配置
対等化法
Z の等しい被験者を配置 (マッチング)
• 無作為配分
– ランダムに被験者を各条件に配置
• 無作為配分の利点
組織的配分の問題
– 経済性:
• Z の測定が不要
• 被験者数
• マッチングが不要
– 実現性
• Z 以外の変数の統制
• 無作為配分の妥当性
– 統計的検定
誤差変動がランダム(偶然誤差)
→ 統計的に区別
Cf. 系統誤差
先応募した被験者 → 実験群
• 無作為配分の限界
偶然誤差が大きい場合
誤差を小さくする工夫 (精密な実験)
対等化の採用
無作為配分が困難な場合
日本人とアメリカ人の比較
異なる学校で教授法を比較
配分後の異質化
課題 2 Reaction paper
• 被験者内計画を使った場合の問題点は?
• 被験者間計画の場合,その配分法は?
組織的配分の例
平均値等化法
対等化法
組織的配分の短所と長所をあげなさい
無作為配分
被験者内計画
• 同じ被験者が,すべての実験条件に参加
• 剰余変数:個体内変動
実験例
ミューラー・リヤー錯視
調整法
上昇系列
下降系列
• 上昇系列
• 下降系列
• 系列の影響
– 固執効果(固執誤差)
– 期待効果(期待誤差)
• 空間配置の影響
– 異方性
カウンターバランス
• 上昇系列と下降系列の平均をとる
→ 固執効果の相殺(カウンターバランス)
← 慣れの効果(残留効果)の混入
• 時間変数(慣れの効果,練習効果,疲労効果)
←複数の試行を同時におこなうことができない
• 異方性(右/左)と上昇/下降系列の2変数では?
右上→左下→左上→右下→
左下→右上→右下→左上
平均順位 右 (1+4+6+7)/4=4.5
左 2+3+5+8
上 1+3+6+8 下 2+4+5+7
ABBA法
時間変数をカウンターバランス
時間経過と時間効果の線型関係を前提
ABBA
BAAB
さらに,それぞれ被験者を増やす
時間変数の効果が線型ではない
右上→左下→左上→右下→
左下→右上→右下→左上
異なる被験者で
裏返しの系列
左下→右上→右下→左上→
右上→左下→左上→右下
→ 個人差 ?→ 被験者を増やす
無作為化
• 右上,右下,左上,左下 の4条件を
同じ回数,ランダム順におこなう
(無作為化による時間変数の統制)
研究例 pp.110-111
抽象語と具象語
→ 「憶えやすさ」 を比較
独立変数(抽象/具象)
従属変数 (再生数)
剰余変数
• 単語による「憶えやすさ」の差
↓
抽象語 10語
具象語 10語
• 時間変数 (順序効果)
20語の提示順序
→ 被験者ごと 提示順序を無作為化
時間変数(順序効果)を 統制
抽象語 具象語 別に
平均再生数 を比較
無作為化か,カウンターバランスか
• カウンターバランスは,どのような時に困難か?
• 無作為化は,どのような時に有効ではないか?
試行数が(少ない,多い)時
• 試行数(条件の組み合わせ)が多いとき
→ カウンターバランスが困難→無作為化
• 試行数が少ないとき
→ 無作為化が困難 → カウンターバランス(組織的配分)が適