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 レポート・論文は,まずその内容にオリジナリティがあり,また充分な完成度をそなえたものであることが必要です.

1. 目的,仮説は明らかか.

2. データ収集の方法は適切か.

3. 結論を導くために充分なデータがあるか.

4. 論理的に明快に記述・説明されているか.  

 

 論文の形式・構成は以下のものを参考に.

1. 日本心理学会「執筆・投稿の手引き(2015年改定版)」 (各自,ダウンロードすることが望ましい → 日本心理学会のサイト参照)

2. 大学,教室で指定されている事項は優先して守る.問題,目的,方法,結果,考察などの構成は共通.

3.「方法」「結果」の部分は原則として過去形で記述します.これに対して,「考察」や最初の「問題」の部分は現在形が原則です.「目的」の部分は過去形のこともありますが,場合によって(特に「問題」の中でふれられる場合)は現在形で書かれることもあります.  

 

 執筆にあたって,文章の表現に気をつけることが大切です.

1. 内容をどのように展開するのか,つまり何をどのような順序で述べて相手(読み手)を説得するのか,に気をつけてください.「説得」とは,相手を強引に説き伏せることではありません.こちらの考えを理解してもらうことです.想定される読み手はどのような人ですか.

2. 各部分は,必要十分な根拠を示した上で論理的に明快に(冷静に)展開されなければなりません.同じ内容が無駄に繰り返されたり,論理の展開が行きつ戻りつすることは,論文・レポートの明快さを損ないます.また読み手に十分理解できないことは論理的な飛躍と受け取られることがあります.自分でわかっているつもりでも,その論理展開が第三者にとってわかりやすいものかを考えてください.

3. 「問題」の部分では,いまなぜこの問題を取り上げるのか,その意義を説明しなければなりません.さらにそこから,今回とりあげる仮説がどのように導かれるのかを明らかにする必要があります.

4. 「考察」では,まずその仮説が支持されたのか,それは理論的にどのような意味があるのかを,「結果」にそくして書かなければなりません.さらにどこまでその仮説(説明)は一般化できるのか,また残された問題は何かを述べます.

5. そのために,適切に段落(パラグラフ)に分け,段落間の関係をわかりやすくすること,そのために接続詞をうまく使う(しかし,また,これに対して,したがって,・・・)ことが大切です.

6. 一つの文(センテンス)に主語は一つです.ひとつひとつの文が明快でなければ,全体としても解りづらくなります.文はひとつの命題(プロポジション)として何を述べているか,が明らかである必要があります(「AはBである」,「CはDではない」など).ふだんから新聞などを読み,自分が書く文章と比べながら,文章表現の明快さを習得してください.

7. ある仮説が100パーセント支持されなくとも,その程度は客観的に記述できるのです.(一般に科学では仮説が支持されることを100パーセント期待することはできません.推測統計の仮説検定の論理を思い出してください.)大切なことは,その仮説が支持された(されなかった)過程と,あてはまると考えられる範囲・限界を明示することです.

8. 書いた文章の論理的矛盾を指摘されることは,論文にとってきわめて重大な問題です.論理的に何を主張するのか,その論理は明快か,に気をつけましょう.

 

 提出の前には,細かいところにも注意してください.

1. 図表は適切に作られていますか.図表の表題,番号はついていますか.

2. 引用文献はもれなくあげられていますか.リストは約束に従って整理されていますか.

3. 最後にもう一度読み直して,誤字・脱字がないことを確認してください.

4. 指定された方法で印刷,製本されていますか.

5. 期限に注意し,提出方法を再確認して,余裕をもって提出してください.

 

 論文を提出した後も,文書やデータのファイル,ローデータは整理しておき,少なくとも審査が終わるまでは残しておいてください.論文に利用したデータ・資料などは後日,問い合わせがあった時のためにもしばらく保存しておくものです.

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