第1回
スポーツ・健康心理学とは
講義のすすめかた
【到達目標】
運動やスポーツにおける心理的側面を理解する。
科学としての心理学がスポーツにどのように応用されているかを知る。
心の健康と運動の関係について理解し,健康を支援する方法を知る。
【授業の概要(目的)】
この講義は,心理学の観点からスポーツと健康について理解を深めるこ とを目的とする。スポーツの心理的側面が取り上げられるとともに,心の健康についての心理学的な研究が紹介される。
(例1) アスリートに必要とされる心理的スキル
心理的スキル
ファンデーションスキル
(決断力、自己への気づき、自尊感情、自信)
パフォーマンススキル
(身体的最適覚醒、心理的最適覚醒、最適な注意)
ファシリテーションスキル
(対人スキル、自己管理)
メンタルトレーニング
リラクセーション技法
リラクセーションとは
「身体がゆるんで、心がくつろいだ状態を自分で感じる」
覚醒水準の低減
自己の身体に対する鋭敏さのアップ
睡眠の促進、疲労の回復
精神状態をクリアーにする
(例2) 動機づけ
スポーツと動機づけ
やる気,意欲
動機づけ(motivation)
課題の選択,努力の程度,持続性
動機づけの源泉
なぜ,「動機づけ」られるのか?
達成
優越
親和
社会的な動機(欲求)
動機の質,量(強さ)の違い → 個人差
基本的欲求理論(デシとライアン)
(内発的動機)
自律性への欲求
有能さへの欲求
関係性への欲求
(例3)運動の心理的効果: ストレス
ストレス発生の心理的メカニズム
不愉快な思い、悩み
→ ストレス → 肥満、高血圧、頭痛、潰瘍、
「認知的評価」
トランスアクション・モデル
ストレッサー(嫌な出来事)
一次評価(脅威か)
二次評価(対処できるか)
→ 対処行動
問題焦点型
情動焦点型
ストレス対処行動としての運動・スポーツ
様々な対処行動
運動・スポーツ 情動焦点型
→ ストレス低減効果
効果的な取り組み方
種目の自己選択、強度の自己決定:継続
有酸素運動、自然環境での活動:ストレス解消
仲間:ソーシャルサポート源
Reaction paper 課題1
ストレスに対する対処行動にはどのようなものがあるか、例をあげて述べなさい。
【成績評価の方法】
授業への参加の程度(講義の中でリアクションペーパーに答える)50%
定期試験50%
【テキスト】
中込四郎・伊藤豊彦・山本裕二編著 (2012). よくわかるスポーツ心理 学 ミネルヴァ書房
【履修上の注意等】
心理学の理論が取り上げられることが多いので,心理学概論で学ぶ内容 と対応させながら理解すること。
定期試験期間に試験をおこなう。
資料サイト(大学HP鵜沼研究室から)
http://hideyukiunuma.wixsite.com/visualperception
次回への事前課題(予習)
運動の発達と認知の発達はどのように関係しているか、例をあげなさい。
Reaction paper 課題2
ストレスについてのビデオを観て、その内容についての意見を述べなさい。
https://www.ted.com/talks/kelly_mcgonigal_how_to_make_stress_your_friend?language=ja