第4回 運動の制御機構(1)
:運動の情報処理
事前課題(予習)
スポーツの熟練者の認知には、どのような特徴があるか?
情報処理としての運動
運動
← 複雑な身体の動き
膨大な情報処理
短時間
意識に上らない
関節運動
間接の動き ← 筋細胞
筋力
慣性力
筋細胞 ← α運動神経 ← 大脳皮質
「運動指令」
身体を動かすために情報処理
「ボールを拾う」
← 自分の身体とボールの位置の把握
→ 手先がその位置に向かうように関節を調節
大脳皮質 運動関連領野
一次運動野 筋運動のコントロール
運動前野 感覚情報を受け取る
補足運動野 意思
運動における感覚・知覚の役割
感覚と運動
環境の変化を素早くとらえる: 感覚・知覚
運動に利用される感覚
感覚受容器 → 神経信号 → 中枢神経系
「感覚知覚」
視覚
網膜 → 視覚野
大細胞系:運動,変化の検出
小細胞系:詳細な特徴 色
体性感覚
自分の身体の動き
筋紡錘 ゴルジ腱器官
触覚
皮膚感覚に関連する受容器
平衡感覚
内耳:半器官, 前庭器官
感覚情報 → ほとんど潜在意識下で処理
運動における注意の役割
注意による情報選別
カクテルパーティー効果
注意 → 反応時間の短縮
分散 → 遅延
注意が反応時間に与える影響
情報量の増加 → 反応時間の遅延
目標の位置,属性への注意 → 短縮
Reaction paper 課題
白いTシャツの学生は,何回ボールをパスしたか?
Monkey business illusion
https://www.youtube.com/watch?v=IGQmdoK_ZfY
2種類の注意
内発的注意(能動的) top-down
外発的注意(受動的) bottom-up
注意の復帰抑制
手がかりの影響
空間的な位置,属性
手がかりの効果
外発的:短期,過渡的 内発的:長期
スポーツのパフォーマンスと注意
熟練者
速く,正確に反応
← 効率的な情報収集
ヘルセンとポーウェルス
Helsen & Pauwels, 1993
フィルムに様々な要素(フリーキック、ペナルティキック、ドリブル、パス、オフサイドなど)を含むサッカー場面を投影
被験者はアイカメラを装着して自分に向けられたボールに反応する
測度
反応時間
反応の正確さ
注視点の固定の時間と数、場所
結果
反応を起こすまでの時間が短い
反応の正確さが高い
視線の固定の時間には両グループに差がないが、回数では熟練者が初心者よりも少ない
熟練者はどこをみたらよいかが最初からわかり、さっと見ただけで必要な情報をスキャンできる
熟練者の知識 → 見かたのちがい
スキーマ schema
スポーツ熟練者の記憶
記憶の種類
感覚記憶 作動記憶 長期記憶
熟練者の視覚と長期記憶
選択的注意 ← 知識
パターン認識
← チャンク化 (意味の単位)
熟練者の作動記憶と長期記憶
注意による選択
長期記憶から引き出す
→ 有効な情報を知覚・記憶
↓
状況の把握,予測,運動の選択
宣言的記憶と手続き的記憶
宣言的記憶
意味の記憶
出来事(エピソード)の記憶
手続き的記憶
技能の記憶:言語化が困難
自動化→技能の実行
Reaction paper 課題2
熟練者のスポーツ場面の記憶が優れているのはなぜか?
運動の言語化
運動の言語化
科学的記述
指導,説明のための表現
実施するための表現
自分なりの言語化
言語による指導
指導者の言語
運動イメージ
運動イメージ
イメージ:準感覚的,準知覚的経験
運動イメージ:
身体運動についての準感覚的経験
役割
運動の修正
運動の目標の設定
運動イメージの種類
感覚情報にもとづいた運動イメージ
実際に運動しているイメージ:1人称
ビデオを見るようなイメージ:3人称
運動イメージの質
明瞭性 統御可能性
正確性
運動イメージのテスト
イメージの利用
メンタルトレーニング
イメージトレーニング
次回への事前課題
運動における速さと精度には、どのような関係があるか?