第9回 結果の解釈
事前課題
実験の人工性が問題となるのは,どのような時か?
1 一般化をめぐる問題: 実験操作
実験の人工性
非日常性
← 日常的状況とは何か
普遍的な「日常」?
生態学的な妥当性
生態学的妥当性の欠如
ギブソン Gibson, J. J.,ナイサー Neisser, U
人間が生きている環境
環境のなかの生態学的な関係
環境に含まれる重要な変数
実験状況の変数の関係 ← 環境の構造
2 母集団と標本
母集団への一般化可能性
被験者の代表性
「大学生の心理学」?
実験研究における母集団とは
ヒトという母集団
剰余変数が検討されているか
なにが剰余変数か?
← 理論,モデル に依存
「大学生」であることが剰余変数として結果に影響を与えるか?
例
実験的操作は,生態学的に妥当か
被験者の選択は,剰余変数として影響するか
例
Hasegawa & Unuma 2010
方法
独立変数
被験者
女子大学生30名
構造記述
要素の統合
知覚される表情: 普遍性
怒り
恐れ
嫌悪
驚き
喜び
悲しみ
エックマン
Ekman, P.
「女子大学性」であることが,代表性を低下させるか?
剰余変数として,結果に影響を与えるか?
「与えると考える根拠はない」
Reaction paper 課題
実験の人工性が問題となるのは,どのような時か?
被験者の選択が,母集団への一般化において問題となるのは,どのような時か?
研究例2
比較文化研究における一般化
調査研究における
対等化法による配分と比較
日米の母親における幼児への発達期待の比較
柏木 東 (1977)
比較の精度をあげる配分を考えなさい
どのような変数が発達期待に影響するか
日米で社会階層ごとに対をつくり等化,比較
学歴,職業で区分,等化
3 後続研究の重要性
単一の実験から得られた結果
⇒ 過度の一般化は危険
多くの研究結果が一貫しているか
⇒ 科学的知識の精度をあげる
統計的に「有意でない」結果
検定力は充分か
研究仮説が真 ⇒ 仮説を受け入れる
⇒ 仮説を棄却 (第二の過誤 β)
検定力をあげる方法 (p. 310, 表15-1)
被験者を増やす
誤差変動を減らす
概念的追試
剰余変数の存在
追試 ⇒ 剰余変数の存在の可能性が減少
同じ理論的命題を,異なる手続きで検証
⇒ 反復ではなく,「概念的」追試
次回への事前課題
外れ値とは何か