心理学研究法Ⅱ（実験法） 

第１回 オリエンテーション 

鵜沼　秀行 

 

今日の内容 

１　講義の概要

 ２  テキストと評価法 

 

 心理学研究法 

•     心理学の目的 

 –     行動の説明 

–     「こころ」の働き　メカニズム 

 行動の原因　→　こころ　→　結果としての行動　   

   「この赤ちゃんは，なぜ泣いているのか？」 

　「あの人は，なぜ暴力を振るったのか？」 

 

方法

 •     実験

 •     観察 

•     検査 

•     調査 面接 

 

 心理学における代表的な実験

 •     社会心理学      

フィリップ・ジンバルド： 普通の人が どうやっ‚怪物や英雄に変貌するか

https://www.ted.com/talks/philip_zimbardo_on_the_psychology_of_evil?language=ja

 

　 Philip Zimbardo (2008) (video) 

 -     9:40 ミルグラム(1963) アイヒマン実験 

-     13:20 ジンバルド (1971)　スタンフォード監獄実験 (16:30) 

 

 •     彼は，ここで何を言おうとしているか 　仮説 

 •     どのような方法で実証したか      検証方法

 

 •     ミルグラム(1963) アイヒマン実験 　

    仮説        ふつうの人でも，権威に服従して人の命を奪う

•     検証方法 　

    実験室　（記憶実験を装う）    

       被験者に電気ショックを罰として与えさせる 　

        被験者　一般人（職業，性別）      

 

 •     ジンバルド (1971)　スタンフォード監獄実験 　

仮説　 　　匿名性は人を役割に従って行動させる

 •     検証方法 　　

    場所　（疑似）刑務所           

    被験者　学生　→　囚人役　看守役      　　　

    それぞれの行動を観察 

 

 講義の目標 

（１）心理学の実験についての基礎的かつ体系的な知識を修得する。 

（２）研究のアイディアから実験の立案，実験の実施，仮説の検証，研究の報告へといたる一連の研究の過程を具体的に理解する。

 （３）実験法の理解をとおして，卒業論文などで自ら研究をすすめるために必要な考え方を身につける。

 

 概要

 •     心理学において実験をおこなう際の考え方，留意点，実際の実験の手順 

•     研究についてのアイディアを，実験によって検証し，結論を導くという一連の研究の過程

 •     教育現場などの現実的な制約の中で実験的研究をおこなう際の方法 

 •     教育心理学，認知心理学，社会心理学など　さまざまな実験例 •     受講生が実際に実験に参加し具体的な実験法を体験する 

 

講義計画 

第一部　実験の基礎 　

第２回　相関と因果 　第３回　仮説演繹法 　第４回　観察・調査と実験 　第５回　変数の具体化

 

第二部　独立変数の操作 　

第６回　独立変数の操作 　第７回　独立変数の水準の設定 　第８回　実験の妥当性 

 

第三部　従属変数の測定 　

第９回　従属変数の測定 　第１０回　測度の選択 

 

第四部　剰余変数の統制 　

第１１回　剰余変数の統制　  個体差変数の統制　無作為配分 　

第１２回　個体内変動の統制　     カウンターバランスと無作為化　 　

第１３回　直接的統制　要因計画

 

 実験の実習と前半のまとめ 　

第１４回　実験例 　第１５回　まとめと試験 

 

秋学期

 第五部　現実場面における実験 　

第１６回　さまざまな実験  　第１７回　準実験（横断的比較）　 　第１８回　準実験（縦断的比較）　一事例実験

 

 第六部　心理学の実験に特有な問題 　第１９回　実験の人工性と生態学的妥当  要求特性 　第２０回　実験者効果 　第２１回　内観法　倫理的問題 

 

第七部　実験の計画から実施，結果の分析へ 　第２２回　実験の実施（実験のアイディアと理論の実証） 　第２３回　実験の実施（実験の立案と実施） 　第２４回　実験結果の解釈　　 　第２５回　統計的分析（記述統計） 　第２６回　統計的分析（推測統計　検定） 　第２７回　報告の意義 

 

実験の実習と１年間のまとめ 　

第２８回　実験の実施 　第２９回　実験の解説 　第３０回　まとめと試験 

 

テキスト 高野陽太郎／岡　隆　編　「心理学研究法」　 有斐閣アルマ 

 

 成績評価 

•     試験　（６０％） 

•     授業への参加の程度（３０％）

 •     指定された実験課題の提出（１０％） 

 

（１）授業への参加の評価は，毎回のリアクションペーパーの提出による。なお，毎回の授業では，テキストのあらかじめ指定された部分を読んでおくことが前提となる。 

（２）実験課題の提出は，指定された実験の実施とデータの提出をふくむ。ただし，統計的分析や実験レポートの提出はもとめない。

留意事項

•     授業の一部として実験の実習をおこなうが，各自が授業時間外に自宅などで実験をおこなう場合がある。また，実験実習の時期は授業の進行状況と受講者の理解度などに依存するので，シラバスに示した時期とは異なることがある。

 

 次回への事前準備 

第２回　pp. 1 – 12 Question 1 

　「子どもがテレビで暴力番組を見ることと，子どもが暴力をふるうことに相関関係が認められた」 

　　暴力番組を見ると，子どもは暴力をふるうと言ってよいか。   

 

 きょうの提出課題 

リアクションペーパー 

     ミルグラム(1963) アイヒマン実験 

    ジンバルド (1971)　スタンフォード監獄実験 

 •     これらの実験に関連する実際の現象や事件はあるか？ 

•     これらの実験にふくまれる研究方法上の問題をあげなさい。