第10回 第三部 従属変数の測定(2): 測度の選択
試験について
シラバスに示した予定にしたがって、下記のように試験を行う。
1 実施日
7月26日(金曜) 講義の時間、教室 (試験時間60分)
2 受験上の注意事項
2-1 必ずテキストと配布資料(図表を除きCourse N@viに掲載済み、再配布は行わない)を持参すること。
試験では、テキストを参照しながら解答を求める問題が出題される予定である。
なお、テキスト、配布資料以外の紙資料(コピー等を含む)の持ち込みも可とする。
2-2 学生証を必ず持参すること。忘れた場合は、事務所で証明書を発行してもらうこと。
2-3 試験場でのテキスト、資料等の貸し借りを禁止する。
2-4 電子機器(スマートフォン、辞書、PC等)の使用は全て禁止する。使用が確認されれば不正行為とみなす。
3 試験結果
CouseN@vi上で、試験結果についてのフィードバックを行う。
Reaction paper復習課題
解答選択肢
A B C D E F G H
① ○ × ○ ○ ○ × × ×
② ○ ○ × ○ × ○ × ×
③ ○ ○ ○ × × × ○ ×
問題
① ボボ人形実験(pp. 21-22 )において、子どもが人形を蹴る行動は剰余変数である。
② 図16-6(p. 339 )において、共変量(p.28 表2-2)は得点能力である。
③ 実験群と統制群に被験者を無作為配分すると、実験的操作以外の原因による説明は排除される。
事前課題
pp.78-88
測度の選択
実験の結果(従属変数)を,言語反応で測定(言語測度)する場合の利点と問題点をあげなさい。
測度の選択
標準的手続き(測度)
精神物理学的測定法
刺激閾,弁別閾の測定
尺度構成法(一対比較法など)
記憶測定法
反応時間測定法
非標準的手続き
言語測度
行動測度
精神物理学的測定法
調整法
極限法
恒常法
調整法
被験者が比較刺激を調整
可変の比較刺激を調整し、それが標準刺激と同じに見えるようにする
実験例
ミュラー・リヤー錯視
上昇系列
下降系列
主観的等価点(PSE)
全ての測定値の平均
弁別閾、丁度可知差異(JND)
測定値の標準偏差を求め、定数0.6745をかける (確率誤差 probable error)
極限法
調整法とのちがい
実験者が刺激を一定方向に変化させる
一定の幅で不連続に変化させる
極限法の例
例)
一定の長さの標準線分刺激を
可変長の比較線分と比べるよう求められる
異なる比較刺激が体系的に提示される
比較刺激は標準刺激よりも長く、あるいは短く設定され、
少しずつ減少(下降系列)、あるいは増加(上昇系列)させられる。
主観的等価値(PSE)
上弁別閾と下弁別閾(UT と LT)
不確定帯(IU)
弁別閾、丁度可知差異(JND)
極限法の処理例:3件法
比較刺激が「より短い、等しい、より長い」
上弁別閾と下弁別閾(UT と LT)
試行ごとにもとめる
上昇系列 より短い→等しい: 下弁別閾
等しい→より長い: 上弁別閾
下降系列 より長い→等しい: 上弁別閾
等しい→より短い: 下弁別閾
UT、LTを全試行で平均
Upper Threshold 上弁別閾 UT
Lower Threshold 下弁別閾 LT
PSE
point of subjective equality
主観的等価点
PSE=(UT+LT)/2
不確定帯 IU
interval of uncertainty
IU=UT-LT
弁別閾 DT : 不確定帯の半分
difference threshold
(丁度可知差異 JND
just noticeable difference )
DT=IU/2
Reaction paper 課題1
解答選択肢
A B C D E F G H
① ○ × ○ ○ ○ × × ×
② ○ ○ × ○ × ○ × ×
③ ○ ○ ○ × × × ○ ×
①調整法は刺激閾を求める方法として優れている。
②極限法では、PSEは上弁別閾と下弁別閾から求められる。
③極限法では、被験者が刺激を操作する。
非標準的手続き
言語測度
行動測度
言語測度の利点と問題点
言語測度
言語報告
質問紙法
評定法
言語測度の信頼性と妥当性を高める例
SD法(Semantic Differential)
オスグッド Osgood,C.E.
因子分析
→ 心理的因子
評価,活動,力量
利点
表面的妥当性
感度
多面的測定
問題点
言語表現の多義性
観察反応によるバイアス
低いインパクト
内観の限界
Reaction paper 課題
言語測度について,その利点と問題点をあげなさい。
行動測度の利点と問題点
行動測度
観察可能な行動
利点
観察反応のバイアスを受けづらい
被験者の意識の影響を低下
問題点
他の変数の影響を受ける可能性
感度が低い (行動するか,否か)
感度をあげる工夫(反応時間など)
測度の選択
先行研究とパイロットテスト
適切な測度の選択
信頼性
妥当性
感度
測度の組み合わせ:多重測定
測度の事後評価
例
平均値と標準偏差
錯視量の測定
各条件の標準偏差は何をあらわす測度か?
誤差変動
→ 測度の信頼性
正答率と反応時間
正答率が条件間で大きく異なると?
速さと正確さのトレードオフ
speed-accuracy trade-off
正確に反応すれば,遅くなる
いい加減に反応すれば,早くなる
→ 測度の信頼性
天井効果と床効果
行動測度における天井効果
正答率 すべての条件で高い正答率
→ 条件差を検出できない
学力の測定 全員が高い正答率
→ 個人差を識別できない
言語測度における天井効果
質問紙 全員が「はい」と答える
→ 「態度」の測定 : 独立変数の影響を測定できない