第2回
第一部 実験の基礎
相関と因果
心理学研究法
• 心理学の目的
– 行動の説明
– 「こころ」の働き メカニズム
行動の原因 → こころ → 結果としての行動
「この赤ちゃんは,なぜ泣いているのか?」
「あの人は,なぜ暴力を振るったのか?」
Question
「子どもがテレビで暴力番組を見ることと,子どもが暴力をふるうことに相関関係が認められた」
暴力番組を見ると,子どもは暴力をふるうと言ってよいか。
• 直感
• 事実にもとづく判断
• 血液型による性格の判断
– 直感的な判断の誤り
– 実生活での弊害
• 実証と応用の意義
– 特に,人間の心理の場合
– 直感の容易さの問題
科学的「説明」
因果関係の説明
• 原因と考えられる変数 X
• 結果と考えられる変数 Y
• Y 子どもが暴力をふるう
• X の例をあげなさい
「説明」には何が必要か
• XとYの間に規則的な関係があるか
• 規則性 関係: 相関関係
「子どもがテレビで暴力番組を見ることと,子どもが暴力をふるうことに相関関係が認められた」
相関関係を表現する
• 相関係数
– ピアソンの積率相関係数 r
• 2つの変数の直線的な相関関係をあらわす
図1-1
• 曲線的な相関関係
• 質的な変数の相関関係(連関)
• 曲線相関
r=0.37
相関関係 (表1.1)
• X → Y
• X ←→ Y
• X ← Y
• X Y
↑ ↑
Z
5. X Y
• 暴力番組を見ると,子どもは暴力をふるうと言ってよいか。
暴力番組をみる X
暴力をふるう Y
X → Y 因果関係の主張
If “X”, thn “Y.
Reaction paper 課題1:
それぞれ、あり得るか? Yes or No
• X → Y
• X ←→ Y
• X ← Y
• X Y
↑ ↑
Z
• 相互的な因果関係 (2) の例
– P. 9 GDPと教育の普及率
• まったく偶然である (5) 例
– P. 10 米国の政治資金の額とスポーツの新記録数
• 第3の変数が共通の原因である (4) 例
– P.10, P. 327 選手の機敏さと得点能力
• 偏相関係数
– 疑似相関をみつける
Pp.337-340
– 表16-3
• 機敏さ X,得点能力 Y,身長 Z
相関係数
x 機敏さ
y 得点能力
• 何を意味しているか?
課題2:相関を評価する
• 偏相関係数
x 機敏さ
y 得点能力
z 身長
Reaction paper 課題2
• 何を意味しているか?
Reaction paper 課題3
• X 勉強時間
• Y 成績
• Z 勉強のスキル
何を意味するか
Question
「子どもがテレビで暴力番組を見ることと,子どもが暴力をふるうことに相関関係が認められた」
暴力番組を見ると,子どもは暴力をふるうと言ってよいか。
他の可能性が否定できるか?
• X → Y
• X ←→ Y
• X ← Y
• X Y
↑ ↑
Z
• X Y
1 とは限らない
2 ~ 5 の可能性が否定されていない
まとめ
• XとYの相関関係は,XとYの因果関係をあらわすとは限らない
• 第3の変数 Z の影響を評価するために,偏相関分析が有効な場合がある
参考)
日米の母親における幼児への発達期待及び就学前教育観
教育心理学研究
Vol. 25 (1977) No. 4 p. 242-253
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/25/4/25_242/_article/-char/ja/
次回への事前準備
第3回 pp.13-19
課題 「テレビで暴力番組をみる回数が多いと,暴力をふるう回数が多い傾向が認められなかった」 仮説は支持されないと言ってよいか? 理由は?
次回のテーマ 「仮説演繹法」