秋学期　第３回　

準実験　縦断的比較　

単一事例実験 

 

 

前回の Reaction Paper 課題

複数の事前テストを実施して，横断的な準実験をおこなうことのメリットは何か？

また，どのような場合に介入の効果を主張できるか？

 

複数回の事前テスト

　　　　　　　　　　　　　導入校　　非導入校

　事前テスト①　１年生4月 　学力を測定

　事前テスト②　２年生4月 　学力を測定

　事後テスト　　 ３年生4月　　　　　学力を比較

①→②　　　　　　　　学力の伸び　＜　事前事後の学力変化

（二群間に差なし） （二群間に有意差）

長期的変化による影響の可能性は低い

 

 

今日のポイント

一群事前事後テスト計画では，介入の効果以外のどのような要因の影響が否定できないか？

 

準実験　

　剰余変数の統制が不十分

　ある程度の確からしさで因果関係を特定

　実行可能性が高い

横断的

　事前テスト

　複数の対照条件

　不等価従属変数の導入

 

縦断的　準実験

対照条件が設けられない

配分がおこなわれない

事前課題

一群事前事後テスト計画では，介入の効果以外のどのような要因の影響が否定できないか？

 

例

情報技術の導入の効果

 

対照条件（非導入校）の設定が困難

実験条件（導入校）のみで因果関係を検討

事前テストと事後テスト

一群事前事後テスト計画

事前テスト　→　導入　→　事後テスト

 

因果関係の特定が困難

「偽実験」

 

事前テストの練習効果

事前と事後の間の自然変化

導入時期における他の要因の混入

 

複数回の事前事後テスト

 

導入の直前と直後のみの変化

↓

練習効果，自然の変化　による説明の排除

 

 

事前，事後テストの回数を増やす

不等価従属変数の導入

　　　 ↓

　他の変数の効果による説明が弱められる

 

「中断時系列計画」

 

 

 

介入の導入と「撤去」

反復

 

　

 

横断的比較と縦断的比較の併用

単一事例実験

単一事例実験

小数n実験

 

介入の導入と撤去　反復

 

行動分析　　behavior analysis

Operant 条件づけ

一般化の可能性

 

実験法のまとめ

因果関係の特定

現実性

実行可能性

倫理的許容

機会

被験者の代表性

 

目的に適した方法の選択

 

方法の改善

 

相補的な実施

 

Reaction paper 課題

縦断的準実験の工夫例をあげなさい

 

 

 

研究例：変換視研究

上下逆転

左右反転

ストラットン　Stratton, G. 1896,1897

コーラー　Kohler, I　1951

牧野達郎　1963

上下逆転・左右反転視野の知覚

 

 

 

 

変換視

逆転眼鏡→

　恒常性（大きさ、位置、方向）の喪失　

　二重定位 double localization

 

　　見える身体⇔身体位置感覚，自己受容感覚　 　　　proprioceptive sensation

 

視覚優位の統合の崩壊

聴覚，触覚，身体位置感覚，自己受容感覚：基準

⇒視覚優位の再統合へ

 

 

３日目

１１日目

３０日目

３７日目

 

 

変換視実験（逆さ眼鏡）では，なぜ，単一事例（小数n）実験が可能か？

 

独立変数の操作は，内的妥当性をもつか

視野変換　⇒個人差が少ない

 

従属変数（言語報告）は信頼性をもつか

現象観察報告　⇒　多義性が少ない

行動観察

 

 

事前課題

実験に参加する時に，暗に被験者が受ける影響にはどのようなものがあるか？