第5回
第一部 実験の基礎
変数の具体化
変数の抽象性
• 従属変数 「暴力をふるう」 とは?
– そのままでは,測定できない
• 仮説: 抽象的変数 「暴力をふるう」
↓
具体的手続き 「ボボを蹴る」
補助仮説
• 「暴力をふるう」 = 「ボボを蹴る」
• ビニール人形を蹴る
= 人間に暴力をふるう
「補助仮説」
前提条件 → 妥当か?
操作的定義
• 補助仮説を置かない
– 手続きだけで定義する
「『知能』は,知能検査で測るもの」
『知能』という抽象的な概念と必要としない?
こころについての概念を不要か
手続きの妥当性
• 独立変数
– 同じ概念に相当する他の手続きに翻訳
– 同じ結果が生じるか
「多重操作」
• 従属変数
– 複数の測度で測定(例:脳波と反応時間)
手続きの信頼性
• 独立変数の操作手続き
• 従属変数の測定手続き
厳密の定義する → 再現性 検証可能性
• 標準的な手続きが確立している場合
– 知覚研究:精神物理学的測定法
– 学習研究:条件づけ,行動分析
– 発達研究:アタッチメント pp. 215- 216
• 研究の進展,蓄積
• 標準的な手続きが確立していない場合
– 手続きの提案自体が研究として価値をもつ
標準的手続きの例
• 愛着(アタッチメント)の測定 pp.215-216
– ストレンジ・シチュエーション法
• 子どもにストレスを経験させ,行動を観察する
• エインズワース(1978)
実験観察
特定の行動が起きやすい状況を実験者が設定
←→ 自然観察
https://www.youtube.com/watch?v=QTsewNrHUHU
行動観察
• B型:安定したアタッチメントの型
• A型:回避的な行動を示すタイプ-不安定なアタッチメントの型
• C型:抵抗的な行動を示すタイプ-不安定なアタッチメントの型
三宅(1990)より転載
標準的手続きの例2
• 刺激閾の測定
– 精神物理学的測定法
恒常法
• 決められた数(4~8個)の刺激
• ランダムな順序で各刺激50~200回被験者に提示
• 刺激変化と判断比率Pとの関数(回帰直線など)
• → 心理的定数
(P=50、75%となる刺激値など)
• 知覚的防衛
– マギナス( 1949)
– 認知閾の測定
• 普通の言葉
• タブー語 → 露出時間が長くないと読めない
– 抑圧?
– 読めないのに「抑圧」 ← 無意識?
• 実験の改善
– 性的ではなくとも,認知閾が高い
– 無意識の処理
手続き分析
• 独立変数 → 操作手続き
• 従属変数 → 測定手続き
• 剰余変数 → 統制手続き
• 残された剰余変数 → 統制の方法
• ボボ実験の場合:従属変数は具体的に手続きに翻訳されているか?
←→ 剰余変数(実験者の期待)の交絡を防ぐ
手続きの標準化
• 妥当性,信頼性の確保
手続きを厳密の定義する
→ 再現性 検証可能性
• 剰余変数の交絡を防ぐ
Reaction Paper 課題
• 手続きの標準化とは何か
• また標準化によって,何が可能となるか
アタッチメントの実験の例を引用して述べなさい。
次回への事前課題
第6回 pp.41-51
• 独立変数の操作
独立変数の多重操作とは何か
例:自尊心の低下 → 違反行動の増加