第7回 第二部 独立変数の操作(2)
独立変数の水準の設定
独立変数の効果の最大化
仮説の検証
↑ 独立変数の従属変数への影響
独立変数の効果の最大化
←→ 不充分な効果では,仮説を検証できない
• 独立変数の効果を最大にする「手続き化」
「強い」操作
水準間の差:最大
水準内の差:最小
水準の決定:パイロットテスト
• どのような水準を設定するか
独立変数:自尊心
手続き:試験結果のフィードバック
どのように?
先行研究 → 標準的な手続き
新たな実験 → パイロットテスト(予備実験)
「強い操作」の問題点
• 独立変数のインパクト
一人一人の参加者への影響の強さ
• 操作の強さ → 多重の意味を限定
「きちんとした身なり」
→ ネクタイ
← インパクトの減少
• インパクトの低下
→ 独立変数の効果を検出できない
→ 他の変数の影響が混入
– 「観察反応」
被験者が観察されている影響
– 個人差
• インパクトと強い操作のバランス
研究例
• ミューラーリヤー錯視
実験1
仮説 「鋏辺の角度が錯視量を規定する」
独立変数の効果を検証するために、操作する角度の水準をどのように決めるか
• 錯視が生じない角度
~ 錯視が最大になる角度
どの角度で最大の錯視が生じるか
• 先行研究,予備実験
• 錯視現象の個人差
• 強い操作 (すべての角度での実験は無駄)
錯視が生じない角度
錯視が最大になる角度
• インパクト
すべての被験者が同じ角度で最大の錯視を経験するとは限らない
Reaction paper 課題
• ミューラーリヤー錯視
実験1
仮説 「鋏辺の角度が錯視量を規定する」
具体的手続き
独立変数の効果を検証するために、操作する角度の水準をどのように決めるか具体的手続き
• 要因特定型実験 what-type
• 関数特定型実験 how-type
実験2
ミューラーリヤー錯視の眼球運動説
仮説 「眼球運動が生じなくとも,錯視が生じる」
具体的手続き
眼球運動が生じない瞬間提示 → 錯視成立
*提示時間の水準をどのように決めるか
• 眼球運動:1秒間に4回から5回
↓
独立変数:
眼球運動が生じない時間の提示
VS.
自由な観察条件
従属変数:錯視量を比較
操作の「強さ」 と インパクト
• 「強い」操作
– より限定的,抽象的
• インパクト
– 意図した変数が,どの程度に個人に影響していたか
• 強い操作
(Unuma & Hasegawa, 2010)
• 強いインパクト
(Ekman, 2003)
Horstmann et al. 2006
Unuma et al., 2013
手続きの標準化
• 手続きの代表性
– 直接的独立変数
• 標準的手続き ← 妥当な物理的操作
– 概念的独立変数を適切に代表しているか
• 純化と多重操作
• 手続きの一定化
– 再現性
– 検証可能性
• 心理的等価性
– 一定化 vs. 心理的等価性の確保
• 教示の工夫
• 効果の確保
– 例) 学習の効果
• 研究例 (鵜沼 ,1993)
– 学習方法の効果を比較する
• 学習法A
• 学習法B
– 試行数一定→ 効果を比較
• 効果最大?
– 効果に個人差
試行数一定でよいか : 「インパクトの差」
→ 学習達成基準の設定
例) 誤反応0が2試行連続するまで
– 最大の効果 (所要試行数は変動)
事前課題
• 次回のテーマ pp.62-67
実験の妥当性
課題
実験手続きの内的妥当性と外的妥当性とは何か
Reaction paper 課題2
•学習方法の効果を比較検討するために、試行数(あるいは学習時間)を一定にすることの問題点は何か、述べなさい。