第8回
第二部 独立変数の操作(3)
実験の妥当性
手続きの妥当性
• 妥当な手続きとは
– 内的妥当性
確かに独立変数が原因か
– 外的妥当性
• 実験における因果関係が一般化できるか
– 構成概念的妥当性
• 実験手続きは,目的とする概念の代表になっているか
内的妥当性
• 確かに独立変数が原因か?
– 従属変数にあらわれた結果が,独立変数以外の原因によって生じていないこと
– 剰余変数
– 観察反応 (観察されることの影響)
– 実験者バイアス (実験者の期待)
内的妥当性への危機
• ホーソン効果
– ホーソン実験
– 照明実験
• 工場作業における照明の作業能率への影響
• 独立変数: 照明
• 従属変数: 作業能率
– 結果
• 照明を低下させても作業能率は低下しなかった
– 被験者に選抜されたことが影響
対処法を考えなさい
• 対照群(統制群)の設定
• 盲検法
• プラセボ効果
– 偽薬効果
• 盲検法 blind method
– 二重盲検法
外的妥当性
• 実験における因果関係が,実験の被験者や手続きを超えて一般化できるか?
– 実験の目的の範囲
– 実験の要素が,どれだけ代表的か
• 被験者,実験者,場所・状況,手続き,
• 「大学生の心理学」?
• 仮説の検証 → 理論への一般化
• 現実への一般化
研究例 1
鵜沼 (1993)
Research question
イメージは知覚像と類似するか
仮説
類似するならば
• 閉合性の効果
• 枠組みの効果
• 運動感覚の効果
実験1 閉合性の効果
– 独立変数
実験2 枠組みの効果
• 実験3 筋運動感覚の効果
手続き 視覚情報と運動情報を独立に操作
Reaction paper 課題 1
• 研究例1において、内的妥当性はどのようにして確保されたか?
構成概念的妥当性
• 具体的手続きが,意図した心理学的概念の代表になっているか
手続きの多重的意味 → 純化,多重操作
研究例
独立変数はどのように多重操作されたか
研究例 2
心的イメージの検証
こころに思い浮かべたイメージは視覚的か?
仮説 「イメージが視覚的ならば,
→ イメージ内の距離が大きいほど,たどるために時間がかかる」
• 具体的手続き
コスリンの実験 「イメージ走査」
• 何度も書き写して正確に記憶する
• テスト 地図のイメージを想起
• ある地点が地図にあったか?
• 「岩場」 → 黒点をイメージ
• 「池」 → 移動 「Yes」
• 反応時間を測定
• 結果
2点間の距離が大きいほど,反応時間が長い
• 批判
– 黒点教示が,物理的な世界の知識を使わせた
(ピリシン 「暗黙知」)
• 新たな課題 (独立変数の多重操作)
フィンケとピンカーの実験
矢印の近くに×があったら「Yes」
反応時間測定
• 反応時間が,矢印から×までの距離に比例
• 知識の介入する余地が最小
• 知識による説明の排除
→ イメージは視覚的である
Reaction paper 課題
• コスリンの実験の強みと弱点は何か
• フィンケの実験の強みと弱点は何か
内的妥当性と外的妥当性の点からのべなさい
• フィンケの実験で,概念的妥当性が高められたとすれば,それはなぜか?
次回への事前課題
pp.68-77
• 従属変数の測定
従属変数の信頼性と妥当性
学力を,ある手続きで測定した。この手続きが「信頼できる」かどうかは,どのようにして確かめられるか?