第9回 従属変数の測定 (1)
従属変数の信頼性と妥当性
課題
学力を,ある手続きで測定した。この手続きが「信頼できる」かどうかは,どのようにして確かめられるか?
従属変数の種類
• 直接的従属変数
– 選択反応(はい,いいえ),判断
– 反応時間
• 概念的従属変数
諸変数の代表(あるカテゴリーに属する反応)
– 模倣,同調,攻撃行動
• 概念的従属変数
心理変数(直接観察できない)
– 態度,自尊心,学力
測定(測度)の信頼性と妥当性
• 信頼性
← 同一条件下で,いつも安定した測定値が得られるか
• 測定における誤差 → 信頼性の低下
– 測定装置の誤差
– 被験者の反応の変動
• 誤差変動
• 特定の要因による影響 (剰余変数)
疲労,順序効果, , ,
信頼性
• 信頼性を高める方法
– 要因の統制
– 多重測定
• 複数の尺度
• 正答率と反応時間
Reaction paper 課題 1
• 学力を,ある手続きで測定した。この手続きが「信頼できる」かどうかは,どのようにして確かめられるか?
• 要因の統制
– 測定環境
– 測定課題の標準化
• 多重測度の関係の分析
– 問題数,総合点,問題の間の整合性
– 複数回の測定
→信頼性係数,相関係数
妥当性
• 測定の妥当性
← 意図した変数を的確に測定しているか
• 表面的妥当性
変数を代表しているか
• 基準関連妥当性
他の手続き(基準)と整合性があるか
• 構成概念的妥当性
ある手続きが,心理学的概念(構成概念)に対応するか
• 表面的妥当性
学力 ← 期末テストの成績
意欲 ← 面接の言語反応 ?
• 基準関連妥当性
– 並存的妥当性
• 採否判断と好意度
– 予測的妥当性
入学試験の妥当性 → 入学後の成績を予測するか
• 構成概念的妥当性
– 他の手続き(従属変数)と相関すること
– さまざまな独立変数と相関すること
– 無関係な概念の手続きとの低い相関
– 好意度の測定
• 採否判断,着座位置と相関
• 独立変数(アイコンタクト,類似性)との相関
– 数理的知能の測定
• 数学,理科の学力試験との相関
• 言語的知能との低い相関
研究例
色彩感情の測定
SD 法
色に対してもつイメージ
情緒的意味の測定
赤 → 高い活動性
青 → 低い活動性
1 2 3 4 5 6 7
良い ーーーーーーー 悪い
美しい ーーーーーーー みにくい
動いている ーーーーーーー 止まっている
はでな ーーーーーーー 地味な
熱い ーーーーーーー 冷たい
重いーーーーーーー 軽い
強い ーーーーーーー 弱い
かたい ーーーーーーー やわらかい
色彩感情
色と感情価
SD法 (Semantic Differential)
オスグッド Osgood,C.E.
因子分析 → 心的因子 評価,活動,力量
国際比較研究
• SD法の実施
• 形容詞の抽出
• 評定用紙の用意
• (刺激+練習)×被験者数
• 形容詞対の順序をランダム
• 評定の方向をランダム
• 被験者数 (最低でも20人)
• SD法:結果の分析
• プロフィールの作成
• 相関分析,因子分析
• SD法 → 音,音楽,形,映像の知覚,象徴語
次回への事前課題
pp.78-88
• 測度の選択
実験の結果(従属変数)を,言語反応で測定(言語測度)する場合の利点と問題点をあげなさい。
Reaction paper 課題2
• 測定の妥当性はどのようにして高められるか,例をあげてを述べなさい
• 今日の講義で、あらためて気づいたこと、考えたことを書きなさい。