第13回 知覚研究法:精神物理学的測定法
調整法 極限法
1 試験について
シラバスに示した予定にしたがって、下記のように試験を行う。
実施日
7月26日(金曜) 講義の時間、教室 (試験時間60分)
(評価の60%)
2 受験上の注意事項
2-1 必ずテキストと配布資料(図表を除きCourse N@viに掲載済み、再配布は行わない)を持参すること。
試験では、テキストを参照しながら解答を求める問題が出題される予定である。
なお、テキスト、配布資料以外の紙資料(コピー等を含む)の持ち込みも可とする。
2-2 学生証を必ず持参すること。忘れた場合は、事務所で証明書を発行してもらうこと。
2-3 試験場でのテキスト、資料等の貸し借りを禁止する。
2-4 電子機器(スマートフォン、辞書、PC等)の使用は全て禁止する。使用が確認されれば不正行為とみなす。
3 試験結果
CouseN@vi上で、試験結果についてのフィードバックを行う。
春学期課題
Course N@vi を利用して,以下の課題(現象観察の記述)を期限までに提出
NTT Illusion Forum イリュージョンフォーラム
http://www.brl.ntt.co.jp/IllusionForum/
自由に3つを選択し,それぞれについて,(1)錯視の名称,(2)現象の記述(どのように見えたか),(3)観察した感想および意見,を文章で200字程度
期限 2019年7月19日 深夜 (評価の10%)
精神物理学的測定法
調整法
極限法
恒常法
調整法
被験者が比較刺激を調整
可変の比較刺激を調整し、それが標準刺激と同じに見えるようにする
主観的等価点(PSE)
全ての測定値の平均
弁別閾、丁度可知差異(JND)
測定値の標準偏差を求め、定数0.6745をかける (確率誤差 probable error)
調整法の特徴と適用範囲
観察者に理解しやすい
実施が容易、短時間で実施が可能
刺激の連続的変化が必要
刺激操作が観察者にまかされる
観察者によっては反応の変化点の設定が困難
(全知手続き)
PSEの測定
刺激閾、弁別閾の予備的測定
閾などの定数測定には、極限法や恒常法のほうが正確
Reaction paper 課題 1
PSE とは何か?
極限法
調整法とのちがい
実験者が刺激を一定方向に変化させる
一定の幅で不連続に変化させる
極限法の例
例)
一定の長さの標準線分刺激を
可変長の比較線分と比べるよう求められる
異なる比較刺激が体系的に提示される
比較刺激は標準刺激よりも長く、あるいは短く設定され、
少しずつ減少(下降系列)、あるいは増加(上昇系列)させられる。
主観的等価値(PSE)
上弁別閾と下弁別閾(UT と LT)
不確定帯(IU)
弁別閾、丁度可知差異(JND)
極限法の処理例:3件法
比較刺激が「より短い、等しい、より長い」
上弁別閾と下弁別閾(UT と LT)
試行ごとにもとめる
上昇系列 より短い→等しい: 下弁別閾
等しい→より長い: 上弁別閾
下降系列 より長い→等しい: 上弁別閾
等しい→より短い: 下弁別閾
UT、LTを全試行で平均
Upper Threshold 上弁別閾
Lower Threshold 下弁別閾
PSE
point of subjective equality
主観的等価点
不確定帯 IU
interval of uncertainty
弁別閾 DT : 不確定帯の半分
difference threshold
(丁度可知差異 JND
just noticeable difference )
期待誤差
予期的反応
慣れの誤差
同じ反応の繰り返し
上昇系列と下降系列のPSEを比較
(極限法,調整法 共通)
精度と確度
精度 precision
偶然誤差
測定値の散らばり
確度 accuracy
恒常誤差
PSEが標準刺激の値からどの程度ずれるか
=錯視量
極限法の特徴
恒常法ほど厳密な測定値は得られないが、閾などの定数は調整法よりも正確な値が得られる。
恒常法よりも短時間で実施が可能。
半知手続き
系列の方向は予測できる
PSE, DT など幅広く用いられる。
Reaction paper 課題 2
極限法の特徴を述べよ。
精度と確度の指標についてもふれること。
上下法
上下法と極限法のちがい
上下法
単純上下法 up-down method
(段階法 staircase method)
刺激閾
最初のrunを無視して,以降のrun(6~8)の転換点の中央値の平均値を刺激閾とする
→ 50%の確率で推定
上下法の例
Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance, 29, Guttman, S. E., Sekuler, A. B., & Kellman, P. J., Temporal variations in visual completion: A reflection of spatial limits? pp. 1211-1227, Copyright 2003
変形上下法
2回あるいは3回、同じ反応が連続
→ 刺激変化
より厳密な測定値
推定の確度
適応的方法
観察者の反応履歴を考慮して、系列を変化
無駄(時間、疲労)が少ない