第13回 知覚と学習
事前課題
経験によって知覚が変化する日常的な例をあげなさい
絵画、音楽、味の知覚
文字の知覚
パターン認知の学習
例) ヒヨコの雌雄の識別
チェスの熟達者の盤面の知覚
「見え方が変わるのか?」
知覚学習
Perceptual Learning
情報抽出の変容
初期視覚における知覚学習
高次視覚と知覚学習
経験による 比較的永続的な
情報抽出の効率化
→ 知覚学習
視覚探索における知覚学習
カルニ&サギ Karni & Sagi (1993)
初期視覚における処理の変容
永続的 (32ヶ月後も持続)
知覚学習は
知覚の恒常性の水準で生じるか ?
熟達化と知覚学習
課題に特有の知覚学習 (情報抽出)
絵画、音楽、味の知覚
文字の知覚
パターン認知の学習
例) ヒヨコの雌雄の識別
チェスの熟達者の盤面の知覚
チェスの熟達者
知識によってコマをチャンク化(知覚)
→ 記憶
ランダムな配置では,チャンク化できない
何をチャンクにするか(知覚)を学習
熟達者と初心者では同じ知覚情報に接しても注目する場所が異なる
Reaction paper 課題
チェスの熟達者が,盤面の記憶に優れているのは,なぜか?
ヘルセンとポーウェルス
Helsen & Pauwels, 1993
フィルムに様々な要素(フリーキック、ペナルティキック、ドリブル、パス、オフサイドなど)を含むサッカー場面を投影
被験者はアイカメラを装着して自分に向けられたボールに反応する
測度
反応時間
反応の正確さ
注視点の固定の時間と数、場所
結果
熟達者は初心者よりも反応を起こすまでの時間が短い
熟達者は初心者より反応の正確さが高い
視線の固定の時間には両グループに差がないが、回数では熟達者が初心者よりも少ない
熟達者はどこをみたらよいかが最初からわかり、さっと見ただけで必要な情報をスキャンできる
熟達者の知識 → 見かたのちがい
スキーマ schema
パターン認知と知覚学習
鋳型照合モデル
特徴分析モデル
構造記述モデル
パターンの「記述」
ひとつの説明
記憶内(多数のパターンの記述を保存)
入力(視覚的パターン,聴覚的パターン)
→記述を形成
入力 → 照合 ← 記憶
LTM内の記述と入力の記述の照合が成立すれば,そのパターンを「再認」(Recognition)
問題:どのような記述がおこなわれるか?
鋳型照合モデル
template matching model
パターンは全体的で分析されない状態で他のパターンと比較される
どの程度重なるか,重なる量を評価
問題:
鋳型がパターンと同じ位置,方向,大きさである必要
→パターンごとに位置,方向,大きさを調整
パターンの変化が膨大であること
→すべての変化に対応する鋳型を用意することが困難
複数のパターンがどの程度「異なる」のか表現できない
PとR :構成要素の特徴分析が必要
部分間の関係:構造記述が必要
特徴分析と知覚学習
ギブソン E.J. 1969
知覚学習と発達の原理
E.J. Gibson 1969 Perceptual Learning and Development
パタ-ンを区別するための特徴を見いだすことから出発
子どもの文字識別:E F
←示差的特徴distinctive feature の発見
効果的な知覚学習法
示唆的特徴を別な色にし,次第に元の色に近づける
--->文字認知の分化を促進
学習初期の欲求阻止による興味の喪失を避ける
特徴分析モデルの特色と評価
特徴の特定
アルファベット大文字の識別
1)critical feature :特徴がある群にあって他の群にない
2)特徴が明るさ,大きさ,視点によって不変
3)特徴群によって唯一のパターンが成立
4)特徴の数が比較的少ない
特徴の評価
知覚的混同をどう予測できるか?
←混同されるパターンは多くの特徴を共有
混同行列confusion matrix
異同判断の反応時間
same/different Reaction Time
瞬間提示→誤反応
知覚的類似性の説明
問題点
特徴モデルと鋳型モデルの予測力に必ずしも差がない場合がある
鋳型モデルは特徴間の関係を保持している
構造記述モデル
structural description model
ゲシュタルト(Gestalt)心理学
全体は部分の総和以上のもの
人工知能研究
部分間がどのように結びつくかを明示する重要性
秋学期 第3回 物体知覚(1) 参照
ドットの追加
→ドットの位置により文字識別容易に